あなたは、ピッチ走法かストライド走法か、どちらでしょうか?
今回は、トップ選手を例にとり、どちらの走法が有効か検証してみます。普段、ジョギングをしている人は、参考にしてみてください。
ランニングをはじめた頃は、ハーフマラソン完走、フルマラソン完走など、完走が目標なのが一般的ですが、そのうち、前回の記録を上回りたいと思うようになります。
故障することなく練習を続ければ、最初の2,3年は、タイムが短縮できます。そして、ある時期から(一般的には5年くらい)、タイムがのびなくなります。
このときに、さらにタイムを縮めることに努力する人は、いろいろと試行錯誤するわけですが、そのときに、ひとつのテーマとなるのが、ピッチとストライドです。
走る速さは、歩数である「ピッチ」と歩幅の「ストライド」で決まります。ではどちらを強化したほうがよいでしょうか。
フルマラソンでは、42.195キロをいかにはやくゴールするかを競います。単純に計算すると、歩幅が1mの人は、歩数は42195歩となります。
例をあげてみましょう。サブ4(フルマラソンで4時間以内)をめざす場合、1キロあたりキロ5分40秒平均で走る必要があります。※あくまでも平均で、通常は、後半ペースダウン(ストライドが短くなる)します。
1キロあたり5分40秒でいくには、計算すると、
ストライドが110cmの場合、ピッチは1分あたり160歩で走る必要があり、
ストライドが105cmの場合、ピッチは1分あたり168歩で走る必要があります。
ストライド(歩幅)が大きければ、ピッチ(歩数)は、少なくていいわけです。
走る=ストライド×ピッチ
一般に身長×0.6~0.7がストライドでピッチは、1分間あたり180くらいが目安となります。
ぜひ、ご自分のストライドとピッチを測定してみてください。当然、疲れているときとそうでないときでは、測定結果が異なります。
参考までにトップ選手のストライドとピッチをご紹介します。
■野口みずき選手の場合、
ピッチ:196.9歩
ストライド:151.5cm
身長比:101%
■高橋尚子選手の場合、
ピッチ:209歩
ストライド:145cm
身長比:89%
■渋井陽子選手
ピッチ:195.2歩
ストライド:151.6cm
身長比:92.4%
野口選手は、身長以上のストライドで走っています。
では、ピッチとストライドのどちらを強化したほうがスピードアップにつながるかというと、答えは、ストライドです。
トップ選手のピッチとご自分のピッチを比べてみてください。それほど変わらないことがわかります。では、ストライドをみてください。大きな違いがあるはずです。
といいわけでスピードアップするには、ストライドをのばす必要があります。
では、ストライドを3cmのばしたら、どれくらいタイムが違うと思いますか?ここでは、自己ベストが4時間5分くらいで4時間切り(サブ4)をめざしていて、ピッチが1分間に180のランナーで検証してみます。
このランナーがストライドが3cmのびたら、1分間に540cm先に進むことができます。
1時間で324m、4時間で1296mにもなります。このランナーは、1キロあたり5分48秒くらいで走っているので、
ピッチを3cmのばすだけで、サブ4が達成できることがわかります。
ストライドをのばせば、タイムが短縮することはわかりました。では、どうしたらストライドをのばせるのでしょうか?
ストライドののばすには、下記がポイントとなります。
・股関節を意識する
・下肢の強化する
短距離種目の場合、爆発的な瞬発力が必要ですが、長距離種目の場合は持久力が求められます。特にフルマラソンの場合、できるだけ大きな筋肉を使うことで、長い時間動かし続けることができます。
では、大きな筋肉とは、大腿部です。そして大腿部をしっかり使うには、股関節が重要です。股関節を意識して走ることで、長距離を走れるようになります。
股関節を意識するというのは、足の付け根から一歩を踏み出す意識をするようにしてください。地面に接する足先は置くだけでよいのです。水たまりの上を歩くときを想像してください。足首を使わず、そっと置くはずです。
フルマラソンを走って、大腿部が筋肉痛になるのはOKですが、ふくらはぎが筋肉痛になるのはよくありません。大腿部が使えてない証拠です。
下肢の強化は、いわゆるジャンプ力、体幹力、脚力といろいろありますが、総合的に強化する必要があり、強化されたのがわかりにくい地味な部分ではあります。
ランニングは筋トレは必要ないと言われていますが、続けられるのであればやったほうがよいです。私は、走りながら脚力をつけて、補助的に筋トレをしたほうがよいと思います。
トレRUN道!!